マインドフルネス訓練のコツ①

新しい習慣をはじめるコツ

早いもので、もう2月になりました。
新年に今年の目標や誓いをたてられた方もいるのではないでしょうか?
「目標は立てたけど結局いつも三日坊主で…」
「忙しくて時間がとれない!」
という人もいるかもしれません。

何かをやり続けようとするときには、次の2つがポイントです。

Ⅰ ほぼ毎日続けること。
Ⅱ 正しく訓練すること。

何かの技術を向上させようとするとき(もちろんマインドフルネス訓練も)、
この2つのポイントが当てはまります。
マインドフルネスの訓練を継続できると、人生に良い変化が訪れます。

ですが、これは簡単なことではありません。

マインドフルネスの訓練をほぼ毎日続けるためには、どうすればいいでしょうか。
この記事では<新しい習慣を生活に取り入れるコツ①>についてお話しします。

頑張っている自分を認める

毎日の生活を皆さんどのようにお過ごしですか。

あなたの生活パターンをちょっとふり返ってみてください。
平日は朝起きたら、歯をみがいて、ご飯食べて、仕事に行って…みたいな。
休日はまたパターンが違いますよね。

ある時、あなたは、<マインドフルネスの訓練をしてみよう>と思ったとしましょう。

そして、現在の生活パターンに新しい日課をプラスさせようとします。
実は、これが続かない要因です。
なぜなら、すでに私たちは現在の生活パターンで十分頑張っているからです。

「あなたは日々の生活で十分頑張っている!」と言われたら、どう感じますか?
「いやいや、できてないよ」とか、
「全然ダメ!」とか思いませんでしたか?

今のままではダメ。今の自分ではダメ。

だから、新しい自分の変わりたい、と思っているなら・・・。
この考えのもとは不足感です。
不足感は心がつくりだしています。

 心≠私 心のうごきをみてみよう

心は、私たちをいつも不足感で責めたてます。
「まだまだ足りないよ」とか、
「ほら、あの人見てごらんよ。うらやましいよねぇ…」みたいな。

心は、自分と他者とくらべるように仕向けて不足感をあおります。
不足感を満たそうと、私たちは落ち着きなく動きまわります。

心があちこち動きまわっているうちは、新しい生活習慣は身につきません。
まずは、心の不足感にふりまわされず、“私”が落ち着く必要があります。
どうすれば、“私”は落ち着けるのでしょうか。

まずは、心が不足感をあおっていることに気づく必要があります。
そのためには、一旦すべてしていることを止めます。

例えば、
歩いているなら立ち止まり、食べているなら箸をおきます。
していることを一旦停止したら、なにもせず、今ここにいる“私”を感じます。

どう感じるかは人それぞれです。
落ち着いていれば、それでよし。
何も感じなければ、それもよし。
ソワソワとする感覚があれば、それが不足感かもしれません。
それはそれでよし。

その感覚がなにかを無理につき止める必要はありません。

今ここにある感覚、または感覚がないことに気づいたら、その事実をただ認めて、許します。
たとえば「なにかソワソワした感じがしている。そうかそうか。」と。
そうすることで、心と私の間にスペースができます。

そして、そのスペースにゆっくりと新しい呼吸を入れてあげます。

すると・・・気づきませんか?
そうなんです。
<心は、私たち自身、私そのものではないのです>

“心”は私たちの生命を維持するための自動装置みたいなもので、“私”ではありません。
心は、私たちが起きている間も、寝ている間も、ずーっと勝手に動き続けているエネルギーです。


新しいことをはじめるには安心感がカギ

マインドフルネス訓練とは、この動き続ける心(エネルギー)を観察することです。
「あぁ、心は今日も元気に働いてるな」みたいに。

心は身体の感覚や感情にもつながっています。
痛みや息苦しさといった身体の感覚。
怖さや不安感といった感情。

これらの身体感覚や感情は、時に強烈な嵐のように押しよせてきます。
その嵐はとてもリアルに私たちを飲み込み、心と私を同化させてしまいます。

ですから、私たちには心の暴走、嵐から身を守れる場所が必要です。
安全で安心できるシェルターが、身体の外にも中にも必要なのです。

その第一歩が、どうにか頑張って生きている自分を認めることです。
まず、何はともあれ、私が今生きていることを「よし!」と大肯定する。
その安心感という土台があってこそ、自分好みの生活パターンが作れるのです。

新しい生活パターンには、私はこのままではダメだという不足感はいりません。
<私はどうにか頑張って生きている>と大肯定することから始まります。

ここで、安心感の重要性について、違う角度から話してみます。

安心感は体の感覚だった!

安心ってどこで感じますか?
安心感は<体で感じるもの=身体感覚>です。
頭で<ここは安全だ>と考えるのとは違います。

<ほっと胸をなでおろす>という表現があります。
安心すると胸のあたりの力が抜ける感じがします。

<ほっとした>という時は、おなかから腰のあたりの力が抜けますよね。
すごい緊張から解放されると、腰が抜けてしまう時があります。

新しい生活パターンを作るのに大事なのは、この身体感覚としての安心感です。
新しいことを始める時って、多かれ少なかれドキドキします。

ドキドキするという身体感覚には、不安と期待の両面があります。
不安な時、私はモヤモヤっと暗いイヤな感じがします。
期待感がある時、私はワクワクっと明るいエネルギーを感じます。
ドキドキはいい感じと悪い感じを含む、表裏一体の身体感覚です。

新しいことを始めるとき、イヤな感じのドキドキが強すぎると動き出すのがつらくなります。
それで行動をやめてしまうと、世界が狭くなります。

かといって、イヤな感じを無視して、無理して動くとどうなるでしょうか。
身体は無視されると、<あれ?気づいてないのかな?>とますますドキドキ感を強めていきます。
無視を決めこんだ頭はドキドキ感をおさえ込むために、もっとたくさんのエネルギーを使わなければなりません。

エネルギー浪費の悪循環が起こるのです。
その結果、頭と身体が両方でエネルギーをすり減らしてしまいます。

新しい生活パターンをはじめるにはエネルギーが回らなくなります。

イヤな気持ち、イヤな感覚を無視しない

そうはいっても、仕事や人つき合いなどいろいろありますよね。
身体が嫌がっていても、やらねばならないことがあります。
そんな時でも、まずはしていることを一旦停止して、身体にきいてみてください。

もし身体がイヤがっていたら・・・、
「あぁ、そうなんだ。イヤなんだね」って認めてあげましょう。
そして、認めたあと2回ほど深呼吸して間をとります。

嫌がっていることに気づくと、「そんなんじゃ、だめだ!」とか批判する思いが浮かぶかもしれません。
マジメでがんばりすぎてしまう人は、反射的に批判してしまうパターンが身についています。

そうしたら、反射的に批判したことにも気づいてあげてください。
で、「あぁ、そうなんだ。そんなんじゃだめだって思うんだね」って認める。
そう思っていなくても、とにかく認めてあげることが大切です。

そこにある感覚、浮かんでくる思いは何でもありです。
心は自動操縦なので、勝手にあれこれ思いを浮かべます。
でも、その思いはあなたではありません。

だから、否定や批判をしないようにしましょう。
<へー、そうなんだ>って他人事のように受け止めます。
温かみをもって認めてあげることが大切です。

そして、2回ほど深呼吸して間をとります。
そのように認めて間をあけたうえで、もう一度行動を選択します。

このように身体感覚や感情を認めてあげると、同じことをするのでも以前とは疲れ方が違ってきます。
身体感覚や感情を認めてあげる方が何事もラクにできます。
やるべきことにエネルギーを効率的に使えるようになるのです。

新しいことを始めるときには、安心感が大事なのです。

新しい体験は脳にとって危険?

ここで、脳と生活習慣についてふれます。
ひと昔前までは、歳をとって脳神経回路が一度できあがってしまうと、もう変化しないといわれていました。
しかし、それは間違いでした。

現代では、脳神経は死ぬまで変化し続けるということが分かりました。
これを神経可塑性(しんけいかそせい)と言います。
「情報をやり取りする体内の神経は変化する」ということです。

脳神経を変化させることで生活パターンなどの習慣を変えることができます。
つまり、慣れきってしまった習慣はいつからでも(何歳からでも)変えられるのです。
脳神経を上手に効率よく変化させるために、脳について考えてみましょう。

私たちの脳にとって最重要課題とは何でしょうか?
それは、どうにか生きのびることです。

人間は何百万年も前から、自然の中で生きのびる術を磨いてきました。
生命を脅かす危機を予測し、危険を避け、戦います。
私たちの脳は、そうした長い歴史の中で危険を予測することを脳にすり込んできました。

たとえば、森の中で足元にニョロっとした木の根っこを見て「ヘビ!」って飛びのくアレです。
そうした心配性の脳の働きによって私たちの祖先が生きのびて、子孫である私たちに生命をつないできました。

現代では町中でクマはほとんど出ませんよね。
でも、町中にクマが出なくなってから、長く見ても数千年ほどしか経っていません。
なので、脳はいまだに従来通り、野生の生活のノリで危険を予測しています。

脳は、危険予測を現代に合わせるまでにはアップデートされていないわけです。
脳にとっては危険を予測して生きのびることが最重要課題なのです。

脳は、くり返される体験を学習します。
その体験がくり返されている中で生きのびているならば、脳はその体験をとりあえず「安全」と学習します。

たとえば、毎日通いなれた道を通るのを脳は好みます。
<たまには別の道を通ろうかな~>とも思いますが、基本的には慣れた道を選びます。
脳がくり返された体験に安心を感じる一例です。

逆に、新しい体験は脳にとって危険信号となります。

で、ここが重要なポイントです。
私たちの脳は、私たちの幸せよりも安心感を優先します。

世の中には、危険な体験やつらい体験をくり返されている人が大勢います。
そのような不幸な体験がくり返された場合、どうなるでしょうか。
脳は、くり返されるつらい体験を生きのびると、その体験の中に「ニセモノの安心感」を見出します。

帰属感とも言えるかもしれません。

すると脳は、幸せになるための新たな行動より、慣れ親しんだ不幸な習慣を選択してしまいます。

脳にとって、危険である新しい体験をするには勇気がいります。
新しい生活パターンを作るためには、脳を安心させる必要があります。
その安心感を身に着けるためには、身体感覚や脳を味方につけなければなりません。

頭で考えるだけでは習慣は身につきません。
何らかの言い訳をつけて、行動をやめてしまいます。

たとえその行動が、どんなに私たちのためになることでも。

ファイト一発!だけでは続かないワケ

中には気合でやれる人、怖さよりも好奇心が勝って、嬉々として新しいことに取り組める人もいます。
しかし、その人に安心感がなければどうなるでしょうか。

そのうち身体のどこかにガタが来たりします。
あるいは、人間関係がガタガタになったりもします。
それは怖さを麻痺させているだけだからです。

感情はつながっています。
喜び、悲しみ、怒り、怖さ・・・みんなつながっています。
<喜びだけで他の感情はいりません>というわけにはいかないのです。

一つの感情が麻痺すると、他の感情も麻痺します。
怖さを麻痺させると、喜びも麻痺します。

感情は生きるための大事なエネルギーです。
感情を麻痺させると、生きるエネルギーが減ってしまいます。
感情が麻痺すると、自分自身とのつながりが弱くなります。

自分自身とのつながりが弱くなれば、生きている実感が薄れます。
そうすると、ウツっぽくなり身動きが取れなくなるか、
強い刺激を求めて極端な行動をとらざるをえなくなります。

そうすることでしか、自分が生きていることを確認できなくなってしまうのです。
やはり安心感がカギなのです。

自分の一番の味方になる

新しい生活習慣を身につけたい人には、安心感が欠かせません。

自分には安心感が足りないなと思ったら・・・、
まずは、<安心感が大事なんだ>ということを知りましょう。
それだけでもこれからの動きに違いが出てきます。

そして、安心感を得るには、<身体の外と内に安全なスペースを持つ>ことが大事です。
身体の外では、自分が安心できる関係や場所を充実させることが大事です。

できれば信頼できる先生や仲間が作れるといいですね。
難しければ、とりあえず抱き心地のいいぬいぐるみなどがあるといいかもしれません。
映画「キャスト・アウェイ」にでてくるウィルソンみたいな。

他者とのつながりが安心感を育てるのです。

身体の中では、まず何より、自分が自分の一番の味方になってあげること。
自分で自分を勇気づけられるようになれば最高です。
心に自分を批判する声があることに気づいたら、声の音量を落としてもらいましょう。

くり返しますが、“心”は “あなたそのもの” ではないのです。

次回の記事では、マインドフルネスを正しく訓練するための<マインドフルネスを訓練する上でのコツ②>についてお話しします。