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訓練方法は大きく分けて2つ
今回の記事では、<マインドフルネス訓練のコツ②>をお伝えします。
さて、マインドフルネス訓練は、大きく次の2つに分けられます。
1、フォーマルな訓練
時間を決めて行う訓練です。
たとえば、夜30分などと時間を決めて、座る瞑想や歩く瞑想をします。
2、インフォーマルな訓練
これは日常生活の中に取り入れながら行う訓練です
たとえば、歯みがきや皿洗いなどをマインドフルに行います。
できれば、両方行うと効果がアップします。
フォーマルな訓練のコツ

フォーマルな訓練では、時間を決めて座る瞑想や歩く瞑想を行います。
では、忙しい毎日の中で、どう訓練を取り入れたらいいでしょうか?
自分のパターンを決める
①心地よいスペースをつくる
暑すぎたり、寒すぎたり、不快な環境はさけましょう。
マインドフルネスの訓練は苦行ではありません。
慣れないうちは、邪魔が入らない、集中しやすい環境がおすすめ。
屋外より、部屋の中がいいですね。
日差しや風があたると、身体感覚の繊細な感じがわかりづらくなるからです。
屋外で虫に刺されたらイヤですしね。
屋外は慣れた人向けです。
②時間は短く
はじめは30秒でも1分でもいい。
短い時間から始めて、だんだんと時間をのばしていきます。
長い時間、座って瞑想をするには、足腰にそれなりの筋力が必要です。
だから、できるだけリラックスして、無理なく身体を慣らしていきましょう。
③スケジュールを決めて

生活リズムは人それぞれです。
まず、ご自身の都合の良い時間帯を決めます。
たとえば、朝起きてすぐの5分間、子どもが登校してからの10分間、昼休みの10分間など。
ご自分にとって、ムリなく集中できる時間帯を選びましょう。
また、場所も決めておくほうが、パターン化できます。
寝室のすみっことか、リビングのソファとか、昼休みの散歩中など。
お気に入りの空間を決めておけば、習慣化しやすくなります。
私は寝起きの30分間を、ヨーガと瞑想にあてています。
訓練のテクニック
①姿勢をととのえる
イスや床に座っていると、猫背になったり足腰が痛くなったりします。
長い時間、動かずに同じ姿勢を保つには、足腰の筋肉が必要になります。
座る訓練では、座布(ざふ)や座布団がとてもいいサポート役。
座布とは、主に座禅で用いられる丸型で厚めのクッションです。
これは背筋の安定に、想像以上に役立ちます。
座布団を二つ折りにして、背筋がまっすぐになる高さにしてもいいでしょう。
心地よいスペースに座布を置くと、カタチから<座ろうかな>という気になります。
②動きに呼吸を合わせる

さあ、次は身体の動きに呼吸を合わせるトレーニングです。
身体に呼吸を合わせるとは、どういうことでしょうか。
手足を曲げたり、伸ばしたりする動きをゆっくり、大事に行います。
これは日常生活のなかでも、何気なくできる動きです。
その体の動きと呼吸が、深く、心地よく合うようになると、集中が深まります。
たとえば、 お茶を飲むとき、息を吸いながら、コップに手を伸ばしてみる。
息を吐きながら、コップを口元に持っていく。
歩くとき、一回呼吸する間に3歩進む、などなど。
ちょっとした動きにも意識を配りながら、その動きに呼吸を合わせてみる。
それだけでも、かなりいいトレーニングになります。
ムリに呼吸せずに、<心地よく自然に>というのがミソ。
頑張りすぎない程度がちょうどいいのです。
③ゆっくり動いてみる

私たちの心の動きにはスピードがあります。
心の速さは、ふだんあまり意識されていません。
<仕事がたまってる・・・。あれもやんなきゃ!これもやんなきゃ!>
そんな時は、心のスピードが速くなっています。
天気のいい暖かい日に、芝生に寝っころがって雲の動きをただながめている。
そんな時は、心はゆっくりと動いています。
<いま、私の心のスピードはどうかな?>と、問いかけてみましょう。
マインドフルネスの訓練では、普段の動きを細かく分けます。
そして、動きの一つひとつを、できるだけゆっくり行っていく。
ゆっくりと動き、その感覚に注意をむけ続けることで、心のスピードが落ちていきます。
心のスピードが落ちると、今やるべきことに集中しやすくなるわけです。
すると、それまで見逃していた大事なことに気づくチャンスが増えていきます。
④動きを細かく分けてみよう

さて、どうも気が乗らない時ってありますよね。
そんな時はやることの目的ではなく、やろうとしている<動き>に焦点をあてます。
そして、その<動き>をできるだけ細かく分けてみましょう。
たとえば、休日に寝ころんでテレビを見ていて、
ふと、<掃除機かけなきゃ>と 思ったとします。
その時、あなたはまずどんな動きをするでしょうか?
掃除機をかけるためには、まず、立ち上がらなければなりません。
立ち上がるためには、さまざまな動作が必要になります。
まず、膝を曲げます。
次に、身体を横に向けながら膝を倒します。
さらに、手で床を押して、身体を起こす。
といったように、動きを細かく分けていくわけです。
掃除という目的に焦点を合わせると、<めんどくさいな>といった抵抗する気持ちがあらわれます。
ですが、膝を曲げる、横を向くといった動きに焦点を合わせると、まだ抵抗なくできますよね。
このように動きを細かく分けることで<今、この瞬間>に集中できるようになります。
その時の気分に振り回されにくくなるのです。
心とのおつきあい
①プロセスを味わう

動きを細かく分けて、一つの動きをするごとに合の手を入れてみましょう。
「よし!」や「ナイス!」といった言葉に出して、合いの手を入れる。
それが<集中できた動きを自ら認めてあげる>ことにつながります。
なぜ<認める>なのでしょうか。
ほめるという言葉は、結果に対して向けられがちです。
ほめられるには、結果を出さなくてはいけない。
受験では合格することが、ほめられる結果となります。
プロスポーツなどでは、結果を出す、出さないは収入にも直結してきます。
なにより勝負に勝つとうれしいし、負けるとくやしい。
だからといって、結果だけに執着するのはよくないですね。
なぜなら、プロセスを認める大切さが失われ、むさしさがつきまといがちになるからです。
<認める>という言葉は、結果までのプロセスに対して向けられるもの。
プロセスを大事にして、良い結果が出せるのが一番いいですよね。
<掃除をする>なんて当たり前だし、どうってことないと思われるかもしれません。
そんな当たり前の動きであっても、プロセスを認めて大事にする。
そして、部屋がすっきりしたという結果もまた、大事にしましょう。
これがマインドフルネスを習慣づけるためのポイントです。
目的に向けて、一つひとつの動きを認めていく。
その認められた動きそのものが、小さな<ごほうび>を積み重ねていく。
他の人に認めてもらえるとうれしいですよね。
でも、<自分で自分を認めること>はもっと大切です。
自分とは24時間一緒にいますからね。
②集中しながらリラックス
マインドフルネスや瞑想には、どんなイメージがありますか。
よく、<リラックスして気持ちいい>というイメージがあると耳にします。
ところが、これは少し違います。
マインドフルネスは、単なるリラクゼーションではありません。
訓練では、心に浮かんだものや身体の感覚への注意が必要です。
その注意を切ることなく、保たなければなりません。
<注意を保つ>のはけっこう忙しいんです。
<今、ここ>に注意を向けたら、すぐもう<次の今、ここ>にいるからです。
気を抜くと、すぐに過去や未来、別の場所へと心は飛んで行ってしまいがち。
<今、ここ>にいられるように、一生懸命集中しなければなりません。
だから、単にリラックスして気持ちいいとは、ちょっと違うわけです。
<今、ここ>に注意しながら、できるだけリラックスする。
つまり、<一生懸命集中しながら、リラックスしている。>
私は以前、これは矛盾していると思っていました。
一生懸命やったら、身体に力入るのは当然じゃないかと。
でも、そんなことはありませんでした。
集中とリラックスは両立するのです。
<今ここ>に集中しながら、少しずつ身体の緊張に気づいていきましょう。
③受け取って・手放す

マインドフルネスの訓練では、<待つ姿勢>がとても大事になります。
目を開けて、物を見に行くのではなく、物が目に入ってくるのを待つ。
耳を澄まして、音を取りに行くのではなく、音が入ってくるのを待つ。
つまり、情報を取りにいかず、待って<受け取って>、そして<手放し>ます。
<心>は、あちこち動き回るもの。
動かない<私>が、<心>を観察します。
<私>は、<心>をコントロールしようとせず、良い悪いなどの評価をしません。
<私>は今、ここを観察するだけの存在なのです。
今ここにいる自分を受け入れる

①小さな変化に気づこう
マインドフルネス訓練の効果を感じるまでの期間は、人それぞれです。
訓練をしてみたけどぜんぜん変わらない、という人もいるでしょう。
でも、実は、1回の訓練でも脳神経は変化しています。
自分の小さな変化に注意を向けてください。
<ん…? なんだか気持ちが落ち着いているような気がする…>とか、
<なんかイライラしているな>とか。
いい感じも、悪い感じも、どちらもすばらしい気づき。
そのままに受けとめます。
小さな変化の積み重ねを大事にすることで、マインドフルネスはより上達します。
②自分の体験を大切にする
あなたは自分の体験の王様(女王様)です。
体験は主観的なものであり、自分だけのもの。
あなたは、今この瞬間をどのように感じていますか。
その瞬間を感じながら、そこに意識を向けて生きるとき、感性は磨かれていきます。
生きているなと実感しながら、日々さまざまな体験を積み重ねていくことです。
あなたの体験には、正しいも間違いもありません。
あなたが体験したことを大肯定してください。
体験こそ、あなたが生きることそのものなのです。
今、ここにいて、なぜかわからないけど生きている。
ただそれだけでいいのです。
この体験が、この機会こそが貴重なのです。
自分の体験を、最高に大事にしていきましょう。
インフォーマルな訓練のコツ

好きなこと+マインドフルネス
人は、趣味や好きなことには集中して取り組むもの。
その好きなことをマインドフルにしてみてください。
自分の動作を一つひとつ意識しながら、動きと呼吸を合わせながら・・・。
すると、好きなことからより深い気づきを得ることができます。
スキマ時間を活かす
マインドフルネスは、いつでもどこでもできます。
たとえば、信号待ちや病院の待ち時間、通勤電車の中でも…。
ちょっとしたスキマ時間があったら、さっそく取り組んでみましょう。
あなたが通勤のバスを待っているとします。
まず、呼吸に注意を向けてみることからスタート。
足の裏と地面の接面の感じはどうですか?
右足と左足のどちらに、より体重がかかっていますか?
身体の重心は前にありますか、後でしょうか?
たったこれだけのことが、スキマ訓練となります。
身体の感覚に注意を向けてみる。
その時、あなたは<今、ここ>にいます。
この積み重ねが、少しずつ生活に違いを生んでいきます。
あたりまえを大事にする

私たちは、たくさんの神秘に囲まれて生きています。
私たちの細胞は、死んでは生まれ変わっています。
新陳代謝ですね。
半年もすると、体中の細胞が入れ替わっているそうです。
それをくり返して生命が維持されています。
すごくないですか?
たとえば、トイレに行きます。
生命を維持するために、身体は勝手に消化・吸収・排泄をしてくれます。
私たちは特に頼んでもいないのに、身体は休みなく健気に働いています。
私たちの労力は、せいぜいトイレまで足を運ぶくらい。
寝ていても、呼吸は続いています。
突然、身体に「やーめた」って言われたら・・・。
私たちは生きていられません。
このように、とても大事なことのはずなのに、身近すぎて気づかないことが たくさんあります。
あたりまえのことがあたりまえではないこと、に気づいていく視点が大事です。
私たちはいつでも、なにをしていてもマインドフルであること、ができます。
一緒に取り組んでいきましょう。
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